持続可能なサステナブル調達とは?CSR調達との違いについても解説!

企業に課される社会的責任が大きくなり、原材料やサービスの調達においても、ESG(環境・社会・ガバナンス)に配慮した活動が求められるようになりました。
その背景には気候変動や人権といった社会問題が顕在化し、重視されるようになったことがあります。
企業の調達プロセスはこうした社会課題の解決に寄与できるとして昨今注目されるようになり、効率と採算性を優先してきた調達も、社会的責務を意識したものへと方向転換を始めています。
サステナブル調達とCSR調達の違い
サプライチェーン全体で社会的責任を果たす調達に、サステナブル調達とCSR調達があります。この2つは近いスタンスにあるものの、何を基準として調達先を選定するかの概念が異なります。
2000年代に入って普及したCSR調達は、企業が社会的責任(CSR)を果たすことを第一義とする考え方で、サプライチェーン上で起こりうる不祥事や法違反などのリスクを回避し、コスト削減や企業評価の向上を目的とした調達プロセスです。対してここ数年で浸透したサステナブル調達は、地球環境と人道的に反さない社会を保持していくことを目指すもので、持続可能性が概念のベースになっています。
CSR調達の指針となる「社会的責任に関する手引き」を示した国際規格ISO26000が2010年11月に発行されたのに次いで、2017年11月には「持続可能な調達」に関するガイドラインを補完したISO20400が発行されました。こうした経緯を見ても、企業目線の調達から持続可能な調達へと、時代が移りつつあることが伺えます。
サステナブル調達がもたらすもの、抱えるもの
サステナブル調達のメリット
①【コスト削減】
リサイクル性の高い設計や素材の採用、循環型エネルギーの利用などで、原材料やエネルギー*¹のコストを削減できる可能性があります。導入費用がかかるケースでは短期的には効果が得られない場合もありますが、長期的に見れば運用コストの削減に繋がります。
②【リスク回避】
サステナブル調達は取引先との良好な関係を生み、安定した調達をもたらします。その結果、資源の枯渇や地政学的な変化などを要因とする供給不足や価格高騰といった供給リスクを低減します。
また、サプライチェーン上で社会規範に触れる問題が生じるとバイヤーの責任が大きく問われ、企業価値のダウンや不買運動を招くことがあります。サステナブル調達の実施はそうした事態を未然に防ぎ、経営リスクの回避に寄与します。
③【企業価値の向上】
近年主流となっているESG投資では、ESGに配慮した取り組みを行う企業が高く評価され、投資先として選ばれる傾向にあります。また環境に対する消費者意識も高くなっています。こうした観点から、サステナブル調達は投資家や消費者の信頼を確保し、企業価値や製品イメージの向上に繋がります。
サステナブル調達の課題
メリットの一方で、サステナブル調達には課題も存在します。
課題としてはマンパワーや専門知識に長けた人材の不足、ITシステムや設備導入といった初期費用の負担などが挙げられるでしょう。また業界や事業規模によっては、サプライチェーンが複雑化している企業もあり、そうしたケースでは、サプライチェーン全体でサステナブル調達がどのくらい機能しているのかを把握するのが困難になっています。
サプライヤー管理に役立つツール、SAQ
一般的にサステナブル調達は、企業理念に基づいて策定したガイドラインが遵守されているか、定期的にモニタリングする形で進めます。そのモニタリングの際に使用するSAQ(Self Assessment Questionnaire)は自己評価を行うためのチェックシートで、多くの企業が取り入れている大変便利なツールです。取引先の状況を可視化して、複雑なサプライヤーの管理を効率よく包括的に行えるようサポートしてくれます。
またSAQは企業の情報開示のエビデンスとなったり、収集結果を基にサプライヤーの改善や支援を行うことで協働体制を強化するという側面も持っています。
効率的なデータ収集に加え、ESG経営や取引先との関係構築にも寄与するSAQは、サステナブル調達の強い味方と言えるでしょう。
ゼロボードでは、バイヤーからサプライヤーに対するSAQ(Self-Assessment Questionnaire・自己評価アンケート)の収集・管理を効率化するクラウドサービス、「Dataseed SAQ」を提供しています。
バイヤー側は質問項目設計や結果分析が可能で、サプライヤー側は過去回答の保存や評価推移の確認が可能になり、作業効率化も同時に実現します。また、サプライヤー各社の改善アクションまでのサポートも可能で、持続的な取引関係の構築をお手伝いします。



