欧州電池規則のCFP細則の解釈について④~適合性評価に備えるための重要な手順とリスク管理術~
株式会社ゼロボード
営業本部 ソリューション開発室室長 野底 琢
欧州電池規則に基づくCFP(カーボンフットプリント)算定・検証の準備は、単なる形式的な対応に留まらず、企業にとっては重要な競争優位を保つための戦略的なステップです。本コラムでは、2025年1月5日現在の最新情報をもとに、Notified Body(適合性評価機関)選定状況や適合性評価に向けたリスク管理、そして具体的に準備すべきドキュメントについて、専門的な解説を行っています。これからの市場で競争力を維持するために、CFP値の修正リスクや販売機会損失のリスクを回避するために必要な対策とは何か、業界の最前線で知っておくべき重要な情報を詳述しています。今後の戦略立案に向けたステップを知りたい方々に向けた実務的なガイドを提供します。
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1.CBAMとは
EUが導入した炭素国境調整メカニズム(CBAM)の基本概念を説明。EU外から輸入される製品に対して、CO2排出量に基づく炭素コストが課され、2026年から本格適用が始まります。自動車業界においても、鉄鋼やアルミ部品が対象となり、企業は新たな報告義務を負うことになります。
2. 自動車業界におけるCBAM対象品目とは
自動車業界に関連する鉄鋼・アルミ部品の一部もCBAMの対象製品となることを解説。特に、単純な加工仕様の鉄鋼・アルミ部品は、Complex Goodsとして報告義務が生じます。これにより、自動車部品メーカーはCO2排出量の算定と報告を行う必要があります。
3. 今後のCBAMの変更時期感
2024年から2026年にかけて、CBAMの適用範囲と規制が段階的に強化される予定です。自動車業界にも影響を与える具体的なスケジュールと、それに伴う対応の重要性について説明します。
4. CBAM対応におけるサプライヤーとの連携課題と対応事項
CBAM対応においては、サプライヤーからの情報収集が不可欠です。しかし、情報収集の煩雑さや複雑な算定方法に関する課題が存在します。これらの課題を乗り越えるための対応策として、協力体制の構築や情報収集ツールの導入が必要です。
5. 対応しないことによるリスク
CBAM対応を怠ると、報告未了の排出量に対してペナルティが課される可能性があります。また、競争優位性を失うリスクもあるため、早期対応が求められます。
6. 終わりに
CBAM対応は2025年に向けて重要な課題となります。企業が効率的に対応するために、専門的な支援・ツールが必要です。本コラムでは、弊社支援サービス、ツールの詳細や今後の開発方針について詳しく解説しています。
<参照元>
*1)出典元:Annexes to the CBAM Implementing Regulation for the transitional phase:
https://taxation-customs.ec.europa.eu/document/download/97ae41e4-f785-40fd-b4df-f141ad69f522_en
*2)出典元:Transitional CBAM Registry user manual for Declarants:
*3)出典元:CBAM Quarterly Report structure (XLS format):
*4)出典元:CBAM Communication Template for installations:
*5)出典元:CBAM - Questions and Answers:
以下はダウンロードしてご覧いただけるコラムの要約です。
1. Notified Bodyの選定状況と適合性評価開始遅延の潜在的リスク
欧州委員会の「Single Market Compliance Space」サイトにおけるNotified Bodyの公開状況や、適合性評価が開始されるまでのタイムラインを解説します。適合性評価に向けた準備が遅れることで生じるリスク(CFP値の修正リスク、販売機会損失リスク)を挙げ、これらのリスクを回避するために必要な戦略と、第三者機関からのテクニカルアドバイザリーサービスを活用する方法について具体的に提案します。
2. 第三者検証(適合性評価)の対象範囲と評価方法
Notified Bodyが評価すべき「企業固有データセット」に関する詳細な説明を行い、どのプロセスが評価対象となるかを明確化しています。また、サプライチェーン内での適合性評価に向けた準備の方法についても解説します。
3. 第三者検証に向けたドキュメント準備(パックメーカー編)
欧州電池規則に基づき、バッテリー品番ごとに準備すべき技術文書や品質システム文書を整理しています。CFP Study Reportなど、検証に必要な具体的なドキュメント作成方法を詳述します。
4. 第三者検証に向けたドキュメント準備(サプライヤー編)
サプライヤーが行うべき情報連携方法や、CFP値の適合性評価に向けた準備について解説しています。特に競争優位性に影響する機密情報の取扱いについても触れています。
5. ILCDデータフォーマット概要
ILCDデータフォーマットを基に、企業固有のデータセット作成や管理方法を解説しています。適切なデータ管理を行うことで、適合性評価に必要な情報を確実に整備するための実践的なアドバイスを提供します。
6. 終わりに
適合性評価に向けた準備を記述した上で、今後のアクションプランとして、関連ウェビナーやコンサルティングサービスの案内を行っています。
*1)出典元:European Commission :Batteries for electric vehicles-carbon footprint methodology[CFP細則(ドラフト版)/CFP算定・検証の細則(ドラフト版)]:https://ec.europa.eu/info/law/better-regulation/have-your-say/initiatives/13877-Batteries-for-electric-vehicles-carbon-footprint-methodology_en
*2)出典元:European Commission :Batteries-format carbon footprint declaration [CFP宣言の細則(ドラフト版)]: https://ec.europa.eu/info/law/better-regulation/have-your-say/initiatives/13878-Batteries-format-of-carbon-footprint-declaration_en
*3)出典元:Official Journal of the European Union[欧州電池規則文書]:https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/PDF/?uri=CELEX:32023R1542
*4)出典元:Documentation of LCA data sets:Validity and conformity tests
*5)出典元:ILCD Format 1.1 Documentation - Process data set:ILCD Format 1.1 Documentation - Process data set
*6)出典元:JRC Scientific and Technical Reports : Compliance rules and entry-level requirements:https://eplca.jrc.ec.europa.eu/uploads/ILCD-Data-Network-Compliance-Entry-level-Version1.1-Jan2012.pdf
*7)出典元:JRC TECHNICAL REPORT:Guide for EF compliant data sets Version2.0:https://eplca.jrc.ec.europa.eu/permalink/Guide_EF_DATA.pdf
*8)出典元:ISO14027:ISO/TS 14027:2017 環境ラベルと宣言―製品カテゴリルールの開発:https://jis.eomec.com/iso/iso-ts-14027_2017-13#gsc.tab=0
*9)出典元:ISO14064-3:温室効果ガスに関する主張の妥当性確認及び検証のための仕様並びに手引:https://webdesk.jsa.or.jp/books/W11M0090/index/?bunsyo_id=ISO+14064-3%3A2019