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国際会議「EcoBalance 2024」に参加しました。

2024年11月3日(日)〜7日(木)に仙台で開催された国際会議「EcoBalance 2024」に、ゼロボード総研が参加しました。

「EcoBalance 2024」は、日本LCA学会(ILCAJ)が主催し、1994年以来2年ごとに日本で開催されています。「EcoBalance」は、ライフサイクル思考を中核概念とし、学術界、産業界、政府関係者が参加する世界有数の会議として知られています。そして、環境パフォーマンス評価、評価結果の情報公開、議論された手法の開発と実装に関する議論の場となっています。

今回のテーマは、「Life Cycle Thinking - Beyond Carbon(ライフサイクル思考〜炭素を超えて〜)」でした。会場では、参加者に対して、交通手段や宿泊数等のアンケート調査が実施され、会議開催によって排出されるCO2はクレジットで相殺されました。

会場開催風景

ゼロボード発表 ポスターセッションの概要
タイトル:Comparative analysis of corporate greenhouse gas emissions by different quantification approaches(異なる定量化アプローチによる企業の温室効果ガス排出量の比較分析)

発表者:ゼロボード総研 陳 怡靜/深井 晶央/磯部 眞弓

産業界は、直接的な事業と上流のサプライチェーンの両方からの排出に対処しながら、企業活動全体で炭素排出量を削減するという差し迫った課題に直面しています。製品ライフサイクル温室効果ガス(LC-GHG)排出量を定量化するためのさまざまな分析フレームワークが開発されていますが、いくつかの課題が残っています。

  • さまざまな定量化アプローチは、LC-GHG 排出量の計算結果にどのような影響を与え、効果的な脱炭素化戦略の開発にどのような影響を与えるのか?

  • 業界固有の特性は、企業の脱炭素化戦略の実施にどのような影響を与えるのか?

これらの課題に対してケーススタディを用いて考察しました。

その結果サプライヤーの関与のための協力的な枠組みを確立することは、バリュー チェーンの脱炭素化の取り組みにおける重要な成功要因であること、セクター固有の特性を調べることで、排出量を削減するための正確で証拠に基づく戦略の策定をサポートする重要な洞察が得られる、とまとめました。

ゼロボード総研 発表者の感想

  • ポスターセッションでの議論は、サプライチェーンとの連携による排出量削減について、産業側の関心が高いことを感じた。
  • 業界団体を中心とした情報共有プラットフォームの構築や、共通の評価基準の策定が進められて、業界全体での協力体制が重要となっている。
  • また、業種横断的な協力関係の構築により、より効率的な排出削減の実現や、イノベーションの促進が期待されている。
  • ゼロボードのようなプラットフォームを通じて、産業界全体としての脱炭素化を加速させることが可能となる。


ポスターセッションで、来場者に研究を紹介するゼロボード総研 コンサルタントの陳(右
ゼロボードブースで来場者と話すゼロボード総研 シニアフェローの磯部(左)

EcoBalance公式サイト:https://ecobalanceconference.org/

  • 記事を書いた人
    陳 怡靜(ゼロボード総研 コンサルタント)

    国立研究開発法人 科学技術振興機構にて研究員として蓄電池システムを含むエネルギー技術のLCA、コスト評価に従事。国内外の研究機関との交流や企業連携も運営。LCA/CFP算定のコンサルティング、製品・サービスのCFP算定支援を担当。日本LCA学会会員。東京大学大学院 工学系研究科 化学システム工学専攻 博士課程修了 博士(工学)