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コラム

SAQ(Self-Assessment Questionnaire)について解説!今後求められるサステナブルな調達とは?

目次

SAQとは? その目的と役割

 SAQとは、Self-Assessment Questionnaire(自己評価質問票)の略であり、企業のサステナビリティ・ESG(Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス))に関連する取り組みの実施状況を自己評価するための質問票です。
主にサプライヤーが自身のESGに関連する活動を評価し、その結果を報告することで、ステークホルダーや取引先に対して説明責任を果たすことが目的とされています。この自己評価は、環境への配慮や人権の尊重、労働環境の改善といった活動を確認するために使用され、企業が持続可能なビジネスを展開する上での指針となっています。

サステナブル調達におけるSAQの重要性

企業が求める持続可能なサプライチェーン

 サステナブル調達において、SAQは重要な役割を担っています。サステナブル調達とは、企業が製品や原料を調達する際に、品質や価格だけでなく、環境保護や社会的責任も考慮する取り組みのことです。SAQはこのプロセスにおいて、サプライヤーが自身のESGに関連する活動のレベルを把握し、それを取引先企業に共有する手段として機能します。これにより、バイヤーはサプライヤーの社会的責任への取り組みを評価し、より持続可能な調達を実現することが可能となります。また、SAQ評価結果をもとにした企業とサプライヤー間の関係性構築や事業リスクの把握を通して、共通のビジョンを共有し、相互成長を目指すためのツールとしても活用されています。

SAQの主要構成と評価基準

主要な質問項目

SAQには、以下のような評価項目が含まれます。

  • 環境(CO2排出削減、廃棄物管理、エネルギー使用)

  • 労働環境(安全衛生、労働時間、適正賃金)

  • 人権(強制労働・児童労働の禁止、多様性の尊重)

具体的には、持続可能な地域社会への貢献や、責任ある事業活動に対する取り組みなどが評価対象となります。企業はこれらの質問を通して、CSRの各要素を自己評価し、どの程度その責任を果たしているかを確認します。

評価の方法と基準

 SAQの評価は、事前に定められた基準に基づいて行われます。この評価基準は、しばしば業界全体で共有される規格やガイドラインに基づいています。例えば、「責任ある企業行動ガイドライン」という指針に基づき、企業の社会的責任に関する取組みがどの程度実践されているかを評価します。また、各質問項目には、特定の得点が割り当てられていることがあり、企業がその基準をどの程度満たしているかを数値で示すことが可能です。
こうした評価プロセスを通じて、企業は自社のESGに関連する取り組みの状況を客観的に判断し、改善のための具体的な方向性を見出すことができます。

SAQを活用したサステナブル調達の事例

 実際にSAQを導入し、持続可能な調達を進めている企業の事例は増えています。
例えば、ある大手製造業ではSAQを活用してサプライヤーのCSR取組み状況を評価し、定期的な監査を通じて関与するサプライヤーの改善活動を支援しています。また、共通のSAQを導入している業界団体も存在し、標準的な質問項目と評価基準を整備することで、広範なサプライヤーの社会的責任に対する意識向上を推進しています。
このような取り組みは、最終的には地域社会への貢献や人権への配慮を強化し、社会への説明責任を果たすことへとつながっていくのです。

【企業のSAQ活用事例集はこちら

SAQ導入における課題と解決策

課題

一般的には以下のような課題を持つ企業がSAQの活用余地があると考えられます。

  • 膨大なサプライヤー企業に対して質問票の回答依頼をする、もしくは回答作業をすることによる事務的な作業負担が重い

  • 自社事業におけるサプライヤーリスクを正しく評価する方法が分からない

  • 評価スコアを元にしたサプライヤーとのリスク排除に向けたコミュニケーションの妥当性が分からない

解決策

 SAQの導入を円滑に進めるためには、いくつかの実践的な解決策があります。

  • シンプルなセルフチェックリストの活用
    SAQをシンプルかつ現実的な範囲にまとめた「セルフチェックリスト」を活用することが効果的です。例えば、いくつかの業界団体等で共通のSAQが開発されており、利用しやすいフォーマットで提供され、多くの企業によって活用されています。

  • サプライヤーとの密なコミュニケーション
    サステナブル調達における重要なステークホルダーであるサプライヤーとのコミュニケーションを強化し、SAQの目的とその意義を十分に理解してもらうことも重要です。

  • デジタルツールの導入
    AI分析や自動化ツールを活用することで、効率的なデータ管理が可能になります。

評価基準の透明性を確保し、共通のサステナビリティビジョンを通じて利害関係者との信頼関係を築くことが、持続可能な調達の実現に寄与します。

今後の展望:SAQの進化とデジタル化

 SAQは企業のESGに関連する活動における自己評価の手段として、これまで多くの企業で活用されています。今後、SAQは技術の進化やグローバル化の進展に伴い、さらなる発展が期待されます。特に、デジタル技術を活用した自動化やAIによる分析が進むことで、より効率的かつ正確なCSR評価が可能になるでしょう。また、SAQの構成要素は各国や業界の規格・基準を取り入れながら進化を遂げ、より多様なステークホルダーのニーズを満たすことが求められます。

これにより、持続可能な調達が一層促進され、企業が社会的責任を果たすことが期待されます。



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バイヤー側は質問項目設計や結果分析が可能で、サプライヤー側は過去回答の保存や評価推移の確認が可能になり、作業効率化も同時に実現します。また、サプライヤー各社の改善アクションまでのサポートも可能で、持続的な取引関係の構築をお手伝いします。
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