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欧州電池規則における人権・環境デューディリジェンス①

目次


株式会社ゼロボード 営業本部長
小野 泰司

欧州電池規則対応において、バッテリーのカーボンフットプリント(以下CFP)の開示より先に、人権・環境デューディリジェンス(以下DD)対応が求められる可能性が高まってきた。

こうした背景から弊社もCFP対応のみならず、このDD対応についてお問い合わせを頂戴することが増えており、今回のコラムでまずは、欧州電池規則対応における人権DDについて原文の内容を紹介しながら、企業が取るべきアクションについて紹介していきたい。

1.CHAPTER VII Obligations of economic operators as regards battery due diligence policies

 まず2023年8月に発行済みの欧州電池規則の原文における人権DDに該当する文章を確認することからはじめたい。大きくポイントとなる箇所は以下の3つである。

【Article 47】

This Chapter does not apply to economic operators that had a net turnover of less than EUR 40 million in the financial year preceding the last financial year, and that are not part of a group, consisting of parent and subsidiary undertakings, which, on a consolidated basis, exceeds the limit of EUR 40 million.

➡︎ 対象は、前会計年度の純売上高が4,000万ユーロ以上の事業者

【Article48】

From 18 August 2025, economic operators that place batteries on the market or put them into service shall fulfil the due diligence obligations laid down in paragraphs 2 and 3 of this Article, and in Articles 49, 50 and 52 and shall, to that end, set up and implement battery due diligence policies.

➡︎ 適用開始は、2025年8月18日から

Economic operators referred to in paragraph 1 of this Article shall have their battery due diligence policies verified by a notified body in accordance with Article 51 (‘third-party verification’) and periodically audited by that notified body to make sure that the battery due diligence policies are maintained and applied in accordance with Articles 49, 50 and

52. The notified body shall provide the audited economic operator with an audit report.

➡︎ notified body(以下nd)による第三者検証が必要。またDDポリシーはndにより定期的に監査を受ける

By 18 February 2025, the Commission shall publish guidelines as regards the application of the due diligence requirements laid down in Articles 49 and 50, with regard to the risks referred to in point 2 of Annex X, and in line, in particular, with the international instruments referred to in points 3 and 4 of Annex X.

➡︎ 2025年2月18日までにガイドラインが公表される

(出所)https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/PDF/?uri=CELEX:32023R1542

本DD対応も、DD手順や結果等についてndによる第三者検証が必要であり、CFPの開示対応時期と近しいことから、まだどの機関がndになるのか公表されていない状況だが、ndには欧州電池規則対応のために多くの事業者から第三者検証依頼が持ち込まれることになるはずで、想定通りの期間で認証が取れないリスクも加味しておく必要がある。


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以下はダウンロードしてご覧いただけるコラムの要約となります

2.そもそも人権対応とは何か?

この章では、欧州電池規則に対する具体的な人権DD対応の前に、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」等の内容を基に人権対応の基本的な流れと実施事項について説明する。

3. 人権DD対応のアプローチと欧州電池規則における人権DD対応

ここでは、人権DDのファーストステップである、負の影響を特定・評価するプロセスや、欧州電池規則で求められる具体的な人権DD対応の内容、さらには経済産業省の試行事業結果を踏まえた対応等についても考察している。

  • 記事を書いた人
    小野 泰司(営業本部 本部長)

    大学卒業後、トヨタ自動車株式会社入社。 新型車企画・モビリティサービス企画等幅広く経験。その後労働組合専従。副執行委員長としてデジタルとカーボンニュートラルの2本柱での全社方針立案を推進。その後トップサポート渉外チームに着任。経産省との連携や自工会の活動等の社外折衝と共に、全社でのBEV計画立案等にも幅広く携わる。2022年7月よりゼロボードに参画。自動車、物流、小売等の脱炭素ソリューション開発や、各種事業戦略、海外展開等を所管。