賃貸オフィスとシェアオフィス使用時のGHG排出量とは?2つの違いと具体的な算定方法について解説
シェアオフィスを利用することで、初期費用の削減を実現できます。そのため、個人事業主やスタートアップ企業、リモートワークを導入する企業などに適しており、導入する企業も増えています。
ここでは、シェアオフィス利用時のGHG(温室効果ガス)排出量の算定方法について、Scope1〜3の観点を踏まえて説明します。
賃貸オフィスとシェアオフィスの違いとは?利点と特徴
賃貸オフィスとは、自社専用で使用できるオフィスを指します。
通常、賃貸借契約を結ぶため長期での使用が可能です。また、基本的に24時間利用可能、自社のみが使用するため業務に最適な環境を整えやすいといった利点が挙げられます。
シェアオフィスとは、複数の企業や個人が共同で使用するオフィスを指します。
利点として、光熱費などの固定費が分散される、デスクやチェアなどが完備されているなど、オフィスの設置によるコストの削減が挙げられます。また、短期間の契約が可能な場合が多く、企業の成長や人数変動にも柔軟に対応できます。
Scope 1~3の考え方
GHG(温室効果ガス)排出量の算定・報告に関する国際的な基準であるGHGプロトコルでは、サプライチェーン全体の排出量をScope1〜3の3つに分類しています。
Scope 1 | 事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス) |
Scope 2 | 他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出 |
Scope 3 | Scope 1、Scope 2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出) |
賃貸オフィスにおけるGHG排出量の算定
賃貸オフィスは、オフィスの契約形態に応じて算定方法が異なります。賃貸オフィスにおける排出量の算定について、Scope1〜3の観点を踏まえて解説します。
・オペレーティングリースの場合
契約対象のオフィスがオペレーティングリースであり、資産の保有によるリスクの責任と利益の権利が本社に所属している場合、オフィスの利用に伴うCO2の排出量を、Scope 1、2に算定するか、Scope 3のCategory8で算定するか、選択できます。
オフィス内の電気やガスの消費量を把握できる場合は、Scope1、Scope2で算定します。把握できない場合は、Scope3のCategory8の「建物」で、敷地面積ベースで算定します。
・ファイナンス/資本リースの場合
リース対象のオフィスがファイナンス/資本リース であり、資産の保有によるリスクの責任と利益の権利が営業所に所属している場合は、オフィスの利用に伴うCO2の排出量を、Scope 1、2として算定します。
シェアオフィスにおけるGHG排出量の算定
シェアオフィスの利用にも、GHGの排出量を算定する必要があります。シェアオフィスにおける排出量の算定と按分について、Scope1〜3の観点を踏まえて解説します。
・シェアオフィス利用に関わるScopeの区分
共有スペースを主に利用しているため、Scope1の排出は考えなくて良いでしょう。
シェアオフィスの使用時間に基づく電力消費量などがScope2、従業員の通勤に伴う排出や使用されるオフィス用品や設備の製造、廃棄に伴う排出などがScope3に当てはまります。
・排出量の按分方法
シェアオフィスは複数の企業が共同で利用するため、全体のGHG排出量を各企業ごとに按分する必要があります。
オフィス内の占有面積や、占有容量といった明確な会社別の区分けが明確でない共有領域については、①物理量による配分、②経済価値による配分の2点が考えられます。
①については、会社別の利用時間や利用回数、利用登録人数などを基に算定します。
②については、会社別のシェアオフィスの利用料金をもとに按分します。
まとめ
オフィス利用時のGHG排出量を把握することで、企業は排出量の具体的な削減行動に繋げることができます。ただ厳密に全体の数値を配分することだけを目的とするのではなく、利用者や提供側の今後の計測の精緻化を促し、具体的な削減行動にどうつなげていくのかを想定した配分になっているとより良いと思います。
持続可能なビジネスの一環として、使用しているオフィスが環境に与える影響を理解しましょう。