Excelから「Zeroboard」に切り替えて20%超の時短を実現。長谷工コーポレーションがグループ25社のCO2排出量算定業務を効率化した秘訣とは
ご担当者
技術推進部門 住宅企画推進室 主任
増井 圭悟 様
CO2排出量算定を始めたばかりの企業にとって、入力や集計業務の効率化は大きな課題です。また、Excelで管理している場合、入力ミスが多いという問題や排出原単位のメンテナンスにかかる担当者の負荷も高くなります。そういったお悩み事の解決策として、ExcelからGHG排出量算定ツールへの切り替えによる労力削減を検討している企業も増えており、ゼロボードにも多くのお問合せをいただきます。今回は、株式会社長谷工コーポレーションに「Zeroboard」を導入した決め手や効果、今後の取り組みについて伺いました。
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課題・ 導入背景
- Excelで集計しているため労力がかかり、入力ミスも発生していた
- 人的リソースが限られる中、排出原単位の管理を自社で行う限界を感じた
- 各担当者は入力業務を兼務で行っており、定期的な人事異動もあるため誰でもすぐに入力できる体制を作る必要があった
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ゼロボードに 決めた理由
- ユーザーインターフェースが優れていて使いやすいと感じた
- 排出原単位設定の自由度が高く、自社の運用に合わせることができた
- マニュアル・テンプレート作成や社内説明会の実施などサポート体制が充実していた
- 建設業界向けプロダクトの提供や算定支援をしているゼロボードが持つ知見への期待があった
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導入効果・今後 期待される効果
- 手厚いサポートにより、1ヶ月半でExcelから「Zeroboard」への切り替え準備ができた
- 25拠点分のデータの入力を2ヶ月で終わらせることができた
- 事務局の取りまとめ/集計作業が20%程度の時短を実現できた
- 排出原単位の自動アップデート機能のおかげで、正確性の向上と同時に業務効率化も実現できた
Excelデータを「Zeroboard」へ移行する準備を契約から1ヶ月半で完了
――「Zeroboard」の導入の背景や課題を教えてください。
増井様: 当社は連結子会社を対象としたグループ会社ごとにGHG(Greenhouse Gas:温室効果ガス)排出量の算定を行っていて、各社の入力担当者が現業と兼務で対応しています。2020年に算定を始め、2022年にはSBT(Science Based Targets)イニシアチブの認定を取得しました。
これまではExcelでフォーマットを作って算定を行っていたため、入力と集計に労力がかかることが課題でした。本体とグループ会社を合わせて25社のファイルを取りまとめたり、各種排出原単位の更新や入力内容を確認したりすることに時間がかかっていました。
会社の重要課題として気候変動対応に持続的に取り組むためには、マンパワーを減らす方向でプロセスを改善することが必要であると考え、システムの導入を検討し始めました。
――「Zeroboard」を選んだ理由や決め手を教えてください。
増井様:「Zeroboard」を導入した一番の決め手はツールの使いやすさです。例えば原単位設定の自由度が高いことが挙げられます。社内独自の排出原単位もあるため、ツールとしての可変性を重視していました。他にも3つの決め手がありました。①承認フローの設定で複数人チェックが可能だということ、②ゼロボードが建設業界の算定支援に注力していくということ、③営業やカスタマーサクセスも含めてゼロボードの皆さんのレスポンスが早かったことも評価の高いポイントです。
複数社のトライアルを経た上で、ゼロボードを選ばせていただきました。ゼロボードは導入実績が豊富で信頼できましたし、展示会でもいつも見かけていたので安心感がありました。操作性が良く最も使いやすいということで、最終的には、ツールの選定に携わった同室のメンバー全員一致で決まりました。
25拠点分のデータ集計・取りまとめの時間の20%削減に成功
――「Zeroboard」導入後の効果を教えてください。
増井様:「Zeroboard」の導入によって、取りまとめをする事務局の集計時間を昨年比で少なくとも20%ほど削減できました。25社分のExcelファイルを開いて確認する作業がなくなり、ダッシュボードで簡単に確認できるため効率化が進んでいます。グループ各社が出してくれた数値を簡単に取りまとめられるようになり、全体の数値を把握しやすくなりました。
各拠点の入力担当者は事前にセットしたテンプレートに活動量を入力するだけなので、シンプルに算定が行えるようになりました。また、昨年第三者検証を外部で受けた際には、Excel関数の数式ミスで入力した数字が反映されていないケースなどの指摘を受けましたが、こういった入力ミスは、「Zeroboard」の導入でゼロになっています。
「Zeroboard」のユーザーインターフェースがわかりやすく、直感的に操作できます。画面遷移に時間がかかったり、入力にラグがあるという印象はなく、操作性が良いため、不満はほとんどありません。入力中の項目内容が分かる様「スクロールしないようにしてほしい」などインターフェイスの改善要望も伝えるとすぐに対応してくださるので、不便だなと思いながら使っていることはありません。機能が多すぎない点も使いやすさに繋がっていると感じます。
排出原単位の自社管理が不要になったことも効果の一つです。排出原単位は毎年変わっていくので、自力で情報収集しながら更新していくことは困難です。排出原単位の自動アップデート機能を使うことにより、正確性を向上させながら労力の削減が実現できました。
エネルギーの使用量や廃棄物の入力については、他のシステムとの連携がもっと進めば自動化ができると思っているので、さらなるアップデートにも期待しています。
技術推進部門 住宅企画推進室 主任 増井 圭悟様
マニュアルやテンプレート作成と導入説明会をゼロボードがサポート
――Excelから「Zeroboard」への移行はスムーズに進みましたか?
増井様:各拠点の担当者は現業との兼務で入力を行っているため、切り替えによる仕事の変化に対して若干のハレーションはありました。しかし、結果としてスムーズに導入、算定を進められたのは、ゼロボードにサポートいただきながら入力マニュアルの作成や担当者向けの説明会を実施したためです。
まず、元々使用していたExcel入力のマニュアルをゼロボードの担当者にお渡しして、今までやってきたフローなどを説明しました。入力業務は兼務でやっていて定期的に人事異動による担当者の入れ替わりもあるので、誰でもすぐに入力できるマニュアルにしてくださいとだけお願いしました。期待通りのものを作っていただき満足しています。
「Zeroboard」に切り替えるための内部説明会にも協力いただきました。ゼロボードの担当者にマニュアルを活用しながら説明をしてもらいました。説明会は録画し、いつでも参照できるようにしています。
もちろんマニュアルと説明会だけでは完結せず、実際に使い始めると入力担当者から質問が出てきます。25社で200アカウントほどあるので、4月から6月の入力期間は電話でも対応していました。よりスムーズに入力者対応をするために、Q&Aの整備などにも取り組んでいます。
――ゼロボードの営業やカスタマーサクセスの対応はいかがでしょうか?
増井様:対応が迅速で丁寧です。導入時のテンプレートセットをいただいた際の対応が早く、当社の状況への理解度が非常に高いと感じました。「このようなExcelをお使いでしたら、こういうテンプレートがいいですね」と親身になって提案していただきました。
お互いの会社が近いこともあり、直接お会いして話す機会を何度も作れたのでコミュニケーションの面も問題ありませんでした。特に導入前の段階では定期的に足を運んでいただけたので、入力者の手間にならない方法などを一緒に考えられ、スムーズな導入につながりました。入力までの事前準備が1カ月半とタイトなスケジュールだったのでご無理も申し上げてしまいましたが、細かい部分まで丁寧に対応いただき感謝しています。
サプライチェーン全体のCO2削減や海外拠点の算定も視野に
――最後に、今後の取り組みについて教えてください。
増井様: グループとして2050年にカーボンニュートラルを目指す中で、2つの側面から気候変動問題に取り組んでいます。1つ目は、低炭素施工や脱炭素住宅に係る技術開発に注力するとともに、必要な投資を実行することです。2つ目は、再生可能エネルギーや脱炭素に資する外部の技術、製品の積極的な導入です。対応策として、温室効果ガスの排出が少ない資材の活用促進や省エネ建築物の需要拡大に向けた技術開発の推進、各拠点の再生可能エネルギーへの切り替え、建設現場での採用重機の電化および代替燃料の活用などに積極的に取り組んでいます。
バッテリー式フル電動ラフテレーンクレーンを国内で初めてマンション建設現場で採用(画像提供:長谷工コーポレーション)
――ゼロボードがお役に立てそうなことはありますか?
増井様:建設業は温室効果ガスの排出量が多く、危機感をもってカーボンニュートラルの取り組みを進めています。Scope 3の排出量は全体の約9割となっており、中でもカテゴリー11に該当する「販売した製品の使用」の排出量がScope 3の大半となっています。さまざまなエビデンスをもとに算定の数式を作っているのですが、その部分の入力がより簡易になることを期待しています。
また今後の課題であるサプライチェーン全体でのCO2排出量削減も一緒に進めていきたいです。取引先から一次データを取得できるように更に進めていくことで、自社のScope 3の排出量削減のみならず、建設業界全体の削減につながると考えております。
さらに海外の拠点についても、将来的にぜひご協力いただきたいです。現在はGHG算定の対象外にしていますが、海外事業の拡大を見据え、海外拠点の算定も視野に入れる必要があります。「Zeroboard」は海外でも使われているとお聞きしていますので、海外での展開も期待しています。
※支援内容はご契約いただくプランやオプションによって異なります。
ゼロボードではお客様のニーズに合わせて、勉強会の実施や入力代行などを含め、様々なオプションのご案内も行っております。
マンションの木造化・木質化への取り組み(画像提供:長谷工コーポレーション)