「Sustainability First」を掲げるユーグレナがグループ全体のCO2排出量算定を実施。 複数拠点からの効率的なデータ集約、導入数ヶ月での見える化達成後は、データをTCFDレポートや第三者検証取得にも活用! サステナビリティの最先端を走る企業が次に見据えている取り組みとはー。
ご担当者
サステナビリティ推進部 部長
宮澤 郁穂 様
サステナビリティ推進部
髙橋 宏明 様
業種や扱う商品の分野が異なるグループ会社や工場など複数の拠点を持つ企業にとって、CO2排出量の算定は大きな課題となっています。異なるデータ形式で算定されているデータを収集して一元管理し、算定範囲の設定や、排出量の検証、担当者の教育など、やるべきことが多いにも関わらず、人的リソースが限られているという課題があります。また、初めて取り組む場合、最適解が分からず難しいと感じる企業も多いようです。グループ会社や工場を含む全17拠点を持つ株式会社ユーグレナも、同様の悩みを抱えていました。ゼロボードは、お客様目線に合わせての段階を踏んだゴール設定やそこへ向かうまでのシナリオの提示をしながら伴走型の支援を行ってきました。今回はユーグレナにCO2排出量の算定に向けた取り組みや「Zeroboard」を導入した決め手や効果について伺いました。
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課題・ 導入背景
- ユーグレナ・グループとしてCO2排出量の算定と削減目標の設定ができていなかった
- システム導入後数カ月以内に、Scope 1、Scope 2を算定したかった
- Scope 3の算定にゼロから取り組むため、支援を必要としていた
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ゼロボードに 決めた理由
- 担当者による勉強会や説明会の実施などサポートが手厚く、親身になって相談にのっていただけた
- 導入検討時の営業担当者が毎回迅速かつ丁寧に対応してくださった
- 業種が多岐にわたり、特殊な原材料も多いため、ゼロボードの専門家の知見を算定に活用できること
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導入効果・今後 期待される効果
- ユーグレナ・グループとしてのCO2排出量算定は初の取り組みだが、導入後数か月で、Scope 1、Scope 2を算定することができ、Scope 3の算定もカテゴリーを絞った上で算定できている
- TCFDレポートでの開示や第三者検証取得にも「Zeroboard」で算定したデータを活用できるようになった
CO2排出量の算定と削減目標を掲げることが喫緊の課題に
――CO2排出量の算定に取り組み始めた経緯を教えてください。
宮澤様:弊社はユーグレナ・フィロソフィとして「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」を掲げ、事業を行っています。
2021年には定款上の事業目的を、SDGsを反映した内容に刷新し、事業を通してサステナビリティやSDGsへの貢献を推進しています。しかし、事業を通してSDGsに貢献する攻めの部分だけではなく守りの部分にも注力しなければ、見せかけだけのグリーンウォッシュになりかねません。
さらに、2022年4月に東証プライム市場への移行を果たしたことで、サステナビリティ情報の開示やESGへの本格的な取り組みが求められるようになりました。それに伴ってCO2排出量の算定と削減目標を掲げることが喫緊の課題となっていました。
サステナビリティ推進部 部長 宮澤 郁穂様
――「Zeroboard」導入前に抱えていた課題を教えてください。
宮澤様:すでに一部の拠点ではCO2排出量を算定していましたが、グループ会社を含めたユーグレナ・グループ全体としてESG対応やCO2排出量を開示・報告できるような体制は整っていませんでした。社内の人的リソースも十分ではなかったことから、複数ある拠点のデータを効率的に集約するためにシステムの導入を検討し始めました。
――「Zeroboard」を選んだ理由や決め手を教えてください。
宮澤様:一番の決め手は、サポートの手厚さです。各拠点の担当者の多くがCO2排出量の算定に取り組むのは初めてだったのですが、説明会や勉強会などを開催していただけることを知り、親身になって私たちに寄り添っていただける姿勢を感じられました。また、ユーザーコミュニティ「All Aboard!」に参加することで、他社のご担当者とのつながりや得られる学びへも期待していました。
4月の新任者向けの「All Aboard!」のイベントに弊社および弊社グループの新任者が参加したところ、課題感が同じ認識の方々が集まって疑問点を話し合うことができてとても分かりやすかったと参加者からの評価が高かったです。
他にも、導入を検討していたときに、営業の方が毎回迅速かつ丁寧にレスポンスをくださったことも印象に残りました。価格面やツールの使い勝手にも納得感があり、導入を決めました。
全17拠点で、スムーズなCO2排出量の算定が実現
ユーグレナグループ 八重山殖産株式会社の総合棟
――実際に「Zeroboard」を導入されて、いかがでしたか?
宮澤様:使い方に慣れるまで多少時間はかかりましたが、ゼロボードのご担当者に何度かご説明いただいたおかげで、比較的スムーズに導入が進みました。
髙橋様:正解がない分野でもある為、わからないことがあればすぐにゼロボードのご担当者に相談し、解決してきました。弊社はグループ会社や工場などを含めて全17拠点あるのですが、各拠点からの疑問もスムーズに解消できました。「Zeroboard」も、より使いやすくなるように常に改善・更新してくださるので、助かっています。2週間に一度「Zeroboard」システムのリリース情報が届くのですが、追いきれないくらいの量のアップデートがありますね。前職でESG全般を担当していましたが、Socialの部分がメインだったのでEの部分での専門的な知見に助けられています。
宮澤様:私は海外のESGの動向やGHGプロトコルは知見がありましたが、省エネ法(エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律)や温対法(地球温暖化対策の推進に関する法律)など日本の動向で見えていない部分がありました。その部分も踏まえて教えていただけるのはありがたいですね。
――各拠点で「Zeroboard」のスムーズな活用を促すために、取り組まれていたことはありますか?
宮澤様:各拠点の担当者が集まるワーキング・グループを作り、隔月で共有を行っていました。それでもうまく活用できない場合、私たち本社のサステナビリティ推進部が個別にサポートしたり、ゼロボードの担当者に協力いただいたりしていました。2023年に入社した私から見て、ユーグレナのメンバーの環境問題に対する意識は高いと感じています。積極的に取り組む土壌があるので、理解して慣れてもらった後はスムーズに効率化できました。
サステナビリティ推進部 髙橋 宏明様
Scope 1、Scope 2の算定が可能に。TCFDや第三者検証でも「Zeroboard」で算定したデータを活用
――導入後の効果について教えてください。
宮澤様:2022年12月1日から「Zeroboard」を導入したおかげで、2023年3月までに2022年度分のScope 1、Scope 2を算定することができました。想像以上にスムーズだったと感じています。
第三者検証や気候変動に関する財務情報を開示する「TCFD」にも、「Zeroboard」で算定したデータを使っていただいています。ゼロボードはどのような形で関わっていますか?
宮澤様:TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)は、私が入社する前から取り組みとしてはあったのですが、リスク・機会の評価に留まっていて、CO2の算定や削減目標を掲げるところまでには至っていませんでした。それらの意思決定に必要なデータを昨年から「Zeroboard」で算定をはじめ、削減目標を立ててアクションプランを作っています。
髙橋様:第三者検証の実施にあたっては、現場検証を通してデータの不備に気づくこともあり、ゼロボードと確認をしながら改善につなげています。
――Scope 3の算定についてもゼロボードにご相談いただきました。どのような課題を抱えていらっしゃったのでしょうか?
宮澤様:ゼロからのスタートであったため、社内にScope 3の算定に関する知識がなく、算定方法も手探りでした。バイオ燃料や廃棄物、有機肥料などの特殊な原材料も多く、かつ業種が多岐にわたっていて、排出係数がないものなど、前例がなく基準が明確化されていないものもありました。そこで、ゼロボードの担当者と一緒に考えながら算定を進めていきました。
Scope 3の精緻化やCFP算定でサステナビリティに向けた取り組みを強化
――最後に、今後の取り組みについて教えてください。
宮澤様:Scope 3のデータをより精緻化していきたいです。そのためには、実際の排出量である物量に基づいたデータを取得する必要があります。ただし、物量に基づいたデータを取得するには高いハードルがあるため、物量にするのか排出量の算定対象とするカテゴリーを増やすかなど、新たな対応を取ることを考えています。現在は会計データを活用してカテゴリーを絞って算定していますが、物量をもとに削減施策を進めていきたいです。
髙橋様:ゆくゆくはカーボンフットプリント(Carbon Footprint of Product、「CFP」)の算定も考えており、商品数を絞りながら数値化していけたらと思います。
CO2算定以外にも、水や廃棄物など環境分野の実態をグループレベルで把握したいと考えています。守りではなく攻めの部分で事業を通してどれだけ社会課題を解決できているのかを言語化したり、定量化してモニタリングをしたりすることにも取り組んでいきたいです。
宮澤様:次の大きな課題は生物多様性だと考えています。2022年からサステナブルアグリテック事業を立ち上げ、農業分野にも参入しています。有機肥料や飼料の活用などで一次産業をアップデートしてCO2を削減することや、生態系や生物多様性の問題も視野にいれています。情報を整理していくと同時にTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)を見据えながら対応していかなければならないと思っております。
他にもユーグレナの強みであるサステナブルな商品の浸透や、CFO(Chief Future Officer:最高未来責任者)/未来世代アドバイザリーボードをはじめとする未来世代との取り組みなど、グローバルな視点で環境課題に挑戦していきたいと考えています。
良質なヤエヤマクロレラ株の種苗培養装置